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障害者福祉における「インクルーシブ」とは?

コラム

 

障害者福祉業界における「インクルーシブ」という考え方は、すべての人が障害の有無にかかわらず、社会のあらゆる場面において平等に参加し、ともに生活し、ともに働き、ともに学ぶことを目指す包括的な考え方である。

この考え方は、従来のように障害者を「保護」や「隔離」の対象とするのではなく、社会の一員として当然に受け入れ、誰もがその人らしく生きられる社会の実現を目指すものである。

つまり、障害者自身を社会に適応させようとするのではなく、社会の側が障害者も含めた多様な人々を受け入れられるよう変化していくことが求められている。

 

インクルーシブの実践は、教育、労働、福祉、まちづくりなど、社会のさまざまな分野において求められている。

たとえば、教育の場においては、障害のある子どもが特別支援学校だけでなく地域の通常学級でも学べるようにする取り組みが進められており、個々のニーズに応じた合理的配慮や支援が提供される。

これは、単に同じ場所で過ごすことに意味があるのではなく、互いに学び合い、理解を深め合いながら、共生する力を育てていくことに本質がある。

 

また、福祉の現場では、障害のある人が地域の中で暮らし続けられるよう、グループホームや就労支援などのサービスが展開されている。

ここでも、インクルーシブな視点に立った支援が求められており、支援する側が障害のある人を一方的に導くのではなく、その人の意思や希望を尊重しながら、対等な関係を築く姿勢が重視される。

インクルーシブとは、すべての人が孤立せずに社会とつながりを持ちながら生活できるよう、制度や文化、社会構造そのものを変えていく考え方でもある。

 

国際的にも、インクルーシブは障害者権利条約などにおいて中核的な理念とされており、「誰一人取り残さない(Leave No One Behind)」というSDGs(持続可能な開発目標)の考え方とも深く関わっている。

障害を理由とした差別や排除をなくし、あらゆる人が自分らしく生きる権利を保障するためには、個人だけでなく、制度、文化、社会のあり方そのものを見直していく必要がある。
インクルーシブという言葉は、そのような社会変革を促す大切なキーワードとなっているのである。

 

 

 

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