障害者雇用で働くメリットとデメリット(その2:デメリット)
障害のある人が公的機関や民間企業に就職する方法には、「一般雇用枠」と「障害者雇用枠」の2つの選択肢があることは前回説明してきました。
では、障害者雇用において働く際のメリットやデメリットについて詳しく見てみましょう。
個々の感じ方は人それぞれですが、一般的に障害者雇用に関する共通の傾向が存在します。
これらはあくまで傾向であり、全ての求人に当てはまるわけではありませんが、自分に合った働き方を見つけるためには、これらのメリットとデメリットを理解することが非常に重要です。
【障害者雇用として働くデメリット】
●障害者雇用には、一般的な雇用に比べて求人の数が少ないというデメリットがあります。
そのため、障害を持つ方々がやりたい仕事を見つけることが難しくなる傾向があります。
確かに、障害者雇用促進法の施行により、職場環境の整備や雇用への取り組みが進められていますが、まだまだ「障害者雇用」という枠の求人は限られています。
求人の数が少ないため、求職者が選択肢を持つことが難しく、理想の仕事を見つけるのが困難な場合もあります。
ハローワークやインターネットなどで障害者雇用の求人を探すことは可能ですが、地域によってはその数が極端に少ない場合もあります。
そのため、求職者が希望に沿った仕事を見つけるためには、広い視野での活動や情報収集が必要となります。
●求人に応募する際に障害者手帳を持っていないと応募できないという点です。
障害者雇用の求人を希望する場合、まず障害者手帳を取得する必要があります。
しかし、障害者手帳を取得するには、申請から発行までに1ヶ月から2ヶ月程度かかる場合があり、さらに申請には診断書などの必要書類を用意する必要があります。
このため、障害者手帳の取得には一定の時間と手続きが必要であり、このプロセスが障害者雇用の求人に応募する際のハードルとなります。
求職者は手続きに必要な書類を準備し、申請手続きをスムーズに進める必要がありますが、それでも手帳が発行されるまでの期間は待つ必要があります。
この待ち時間や手続きの煩雑さが、求職者にとって障害者雇用へのアクセスを制限する要因となっています。
●専門的なスキルを必要とする仕事ではなく、補助的な作業や単純作業を割り当てられることが多いという点です。
一部の職場では、障害者の方に対してスキルや能力を活かすことが難しい仕事が割り当てられることがあります。
これにより、他社でも通用するようなスキルアップやキャリアアップを図ることが難しくなる場合があります。
また、専門的なスキルや経験を持つ障害者の方でも、求人に応募する際には障害や求人内容に合わせた補助的なポジションに割り当てられることがあり、キャリアの発展や成長の機会に制約が生じることがあります。
●昇格やジョブローテーション(さまざまな部署・職種を経験し成長するための人事異動)がないことが挙げられます。
一般的な雇用環境では、従業員がキャリアを築きながら成長するために、定期的な昇格や異動が行われることが一般的です。
しかし、障害者雇用の場合、昇格やジョブローテーションがない企業が多いことが課題となっています。
これは、企業が障害者雇用において従業員の能力や成長に対する十分な評価や機会を提供していないことを示しています。
昇格やジョブローテーションの機会がないと、従業員のキャリアの成長が制限される可能性があり、また、同じ仕事や部署での長期間の勤務は、ワークライフバランスの損失やモチベーションの低下につながることも考えられます。
●一般雇用と比較して給与水準が低いことです。
障害者雇用の場合、従業員の障がいや特性に配慮しながら業務時間や業務内容が調整されることが一般的ですが、その代わりに非正規雇用や時短労働などの形態が適用されることがあります。
これにより、障がい者雇用の給与水準が一般雇用よりも低くなることが多いです。
非正規雇用や時短労働は、通常の正規雇用に比べて労働条件や給与が低い傾向があります。
また、一部の企業では障がい者雇用のコスト削減を優先する場合があり、その結果、給与水準が低くなることがあります。
このような給与水準の低さは、障がい者雇用の従業員にとって不利な要因となり、経済的な不安や生活の安定性に影響を与える可能性があります。
など。
最近では、企業がダイバーシティの観点から障害者雇用に対して柔軟に取り組む傾向が強まっています。
企業が積極的に多様性を尊重する姿勢を見せ、障害者が活躍しやすい職場環境が整備されています。
このため障害者雇用枠として働くメリットやデメリットは個人の考え方次第で、自身で働きやすい環境にすることも可能になってきています。