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職業リハビリテーションとは?

コラム

 

職業リハビリテーションとは、病気やけが、または障害によって働くことが難しくなった人が、再び自分の力で働けるようになることを支援する取り組みをいいます。

一般的に「職リハ」とも呼ばれ、医療、福祉、教育、雇用などの分野が連携して行われます。

その目的は、単に仕事を見つけることではなく、本人が希望する職業に就き、安定して働き続けられるように支援することです。

働くことを通して自信を取り戻し、社会とのつながりを再構築することも職業リハビリテーションの大切な目的の一つです。

 

職業リハビリテーションの対象となるのは、身体障害や知的障害、精神障害、高次脳機能障害、発達障害など、さまざまな理由で一般的な就労が難しい人たちです。

たとえば、事故で身体に麻痺が残った人が職場復帰を目指す場合や、うつ病の治療を終えて社会に戻りたいと考える人、発達障害の特性によって職場での人間関係に困っている人などが支援の対象になります。

それぞれの人が抱える課題は異なるため、支援内容も個々に合わせて丁寧に行われます。

 

支援の流れとしては、まず本人の希望や得意なこと、できることなどを把握するための「職業評価」が行われます。

これは、適性や体力、作業能力、対人スキルなどを専門家が評価し、どのような仕事が向いているかを見極める大切なステップです。

その後、職業訓練や作業体験などを通じて、実際に働くために必要なスキルを身につけていきます。

たとえば、事務職を目指す人にはパソコン操作やビジネスマナーの訓練を行い、製造業を希望する人には作業手順や安全管理の指導を行うなど、目標に合わせた支援が行われます。

 

また、職業リハビリテーションでは「就職するまで」だけでなく、「就職した後」も大切にしています。

職場に適応できるようにするための職場実習やトライアル雇用制度を活用したり、実際に就職した後もジョブコーチ(職場適応援助者)が定期的に職場を訪問して支援を続けたりします。

ジョブコーチは、本人が困っていることを聞き取り、必要に応じて職場の上司や同僚に働き方の工夫を提案するなど、双方の橋渡しをする役割を担っています。

こうした継続的な支援によって、働き続ける力を育てることができます。

 

この職業リハビリテーションを実施しているのが、主に「地域障害者職業センター」や「ハローワーク」「就労支援事業所」などの公的機関です。

地域障害者職業センターでは、職業カウンセリング、職業評価、職業準備訓練、職場実習などを総合的に行い、一人ひとりの希望に沿った支援プランを作成します。

また、医療機関や福祉施設、企業とも連携しながら、社会復帰に向けた環境を整えています。

 

さらに、職業リハビリテーションは本人だけでなく、企業側への支援も重要な柱です。

障害のある人を雇う企業に対して、職場の環境を整えるための助言や、障害特性に応じた合理的配慮の方法を伝えるなど、受け入れ体制を整えるサポートも行われます。

こうした企業支援によって、障害者雇用が促進され、誰もが働きやすい職場づくりが進められています。

 

つまり、職業リハビリテーションは、障害のある人の「働く権利」を守りながら、自分らしい生き方を支えるための社会的な仕組みです。

働くことは単なる経済的な自立の手段ではなく、社会とのつながりを感じ、自分の存在価値を実感できる大切な機会でもあります。

そのため、職業リハビリテーションは、障害のある人が自信を取り戻し、希望をもって社会の一員として活躍できるように支援する、非常に意義のある取り組みといえるでしょう。

 

 

 

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